ひーろー

少年A
僕もヒーローになりたい！

ヒーロー
誰かかわって！


少年Aとヒーローは同日・同時刻・同空間の同位置に存在していた。


救われないのはソコに悪の親玉がいなかったこと！

さむうぇあ

雨がふったらキャンディカラーの長靴はくんだ。
傘の裏地は満点の星空。


風が吹いたらシフォンのスカーフまくんだ。ドロップみたいな黄水晶のピンで留めるんだ。


夜になったら洋燈をつけるんだ。暖炉のまえで豆のスープを飲むんだ。


古い毛布はちょっとごあごあするけど十分あったかいよ。

粗びきの珈琲はちょっと味が薄いかもしれないけど香りは濃いよ。


パパもママも帰ってこないけど、いつかは帰ってくるよ。


外はいつも乾燥しているからお湯をたやさず沸かしておくね。


窓枠の埃もちゃんと拭っておくからさ。










あしたはあのコとあそびにいくんだ。
飴がかかったみたいにツヤツヤな林檎の木の下。


今夜は風がつよいな。

明日は林檎の木の下でまちあわせなのに。

はろーあげいん

かなしくなんかないよ。
くるしくなんかないよ。
くやしくもないし、おこってもいない。

ちょっとつかれちゃっただけだよ。

泪がでそう。

でも泣かないよ。

まだがんばらなくちゃいけないからね。

観客がいるならわらうよ。

いなければ天をあおぐよ。

でもやることはいっしょ。

やることはやるし、やりたくないことはやらない。

ないしょだよ。

いまちょっとつかれてるって。

あしたまたわらうよ。

お客さんいるから。

お客さんはショーをみにきてるわけじゃないよ。

ショーをみせにきてるんだ。

だから、お客さんのショーみてわらうよ。

期待どおりに。

準備するよ。もとめられてる報酬。

かなしくないよ。
くやしくないよ。
むなしくもないよ。


期待に応えるよ。
ショーがしたいひとたちをみてるよ。


あしたまたわらうよ。

だからごめんね。
きょうは幕。

あめふらし

大量の情報をあびているよ。まいにちまいにち。

ところでこれはダレが配っている情報なの？

大量の情報がはいってくるよ。まいにちまいにち。

ところでこれは今つくられたものではないのかしら？


かがみに映ってるのはわたしのかおよ。

これはうたがわないことにしてる。

もんだいはわたしのうなじをみつめる青白いかおね。

あるわけないしみえるわけないし。

こわいはなしのよみすぎだし。


でもね。まいにちまいにちみんながやってることもそんなにかわらない。

刺激にひっぱられやすいから、似たようなものをみているだけよ。

ちがうものをみてるからってちがうことをしているとはかぎらない。

こわいものはみないほうがいいけどね。



ところで10年後の世界はタイヘンらしいね。

20年前からそういわれてきたね。

まぁ、タイヘンだね。
みようによっちゃタイヘンだ。


ところで、だれがいいだしたことだろうね？

コピーの速度がはやくてオリジナルをさがすのはタイヘンだ。


まいにちまいにちダレがいったかもわからない情報がふるよ。

いまつくった現実がうごかせない真実みたいなかおして背中にはりつくよ。

かぷせる

泡のなかでひろい世界にあこがれる。


泡がわれる。


世界は過酷でまぶしい。


よるでさえまぶしい。


歌え歌え。
踊れ踊れ。


世界といったいになって忘我の境地へ。


泡。泡。泡。


いのちがうまれる。

sky

しろい青
あかい橙
くろい藍



たかい空にあこがれているんだ！

in the story

あ、どうしよう。

かれの世界にまよいこんだ。

あれ。ありえないはずだけど。

たしかにここはかれの世界。ぼくの世界にはないはずのストーリーがある。

なんということだろう！


科学が実をむすぶ世界だ。物理法則のある世界だ。
昨日があって、明日がある世界だ。

物事に理由があって意味のある世界だ！！


おもたいおもたいおもたい。
おもくるしくって窒息しそう！！

たすけてたすけて。
ぼくの世界にかえしてほしい。



でも、まって。

ここはストーリーのある世界だ。
ストーリーには終わりがある。

だったらさいごまでつきあってみよう。

どうせストーリーはかならず破綻する。

意味はうすれて秩序はみだれる。
自我は拡散して肉体は消失する。

それがストーリーに登場するってことだ。


ぞんぶんに縛られてみよう。

さて、それじゃ本編に登場するためにもかれを探そう。

それはまた別のお話、なんていわれたくないからね。

くろっくたわー

おちついて。
ここはくろっくたわーだよ。

いそげばはやく目的地につけるわけじゃないんだ。

しんちょうにね。

でもはやいほうがいいこともある。

3分前に小部屋にあったヒントがきえちゃうことなんてしょっちゅう！

おそろしい唸り声をあげてた魔物が一晩扉のまえで眠っているうちに仔犬になるのも日常茶飯事。

ふーふーのぼる急階段はどの踏み板がはずれるかわからないしさ。

なんとなくつかんだ紐でびょーんってひっぱりあげられることもたまにある。

おなじ扉なのに鍵がかわることはあたりまえだし、きみの鍵束のめんつも知らない間にいれかわる。

地図はないし、あってもでたらめ。

きほんてきにパーティーはくめないし、むりにくむと敵きゃらにかわる。

ひどいばしょだと思う？

でも大丈夫！コツはある。
くろっくたわーでは一ヶ所にいられないこと。のーみすではくりあできないことをのみこんじゃえば大丈夫。



それにね、大きい声ではいえないけど、ゴールのある最上階になんてたどりつけないほうがいいんだ。

だってゴールしちゃったらもうゲームに参加できないよ？



うん。リミットボタンとセーブポイントはない。

ゲームオーバーになったってひととはたまに会うけどうそだよ。まだかれらぷれい中だもん。


え？最下層？いったことないな。最下層からのぼってきたってひととあったって？うそじゃないかな？

だってどこが最下層かなんてだれにもわからないよ。

ずいぶんたくさんの階を落下したこともあるけど、どこまでおちてもさらに下の階があったよ。

最下層にたどりつくのは頂上にたどりつくのとおなじくらい難しいんじゃないかな。


じゃ、そろそろいくね。

大丈夫。さみしくなんかないよ。

ここはくろっくたわー。

いつかまたあうよ。
どんな形であれね。


ばいばい。
つぎはきみのせかいであおうね。

けつろん。

わたしは、しずかなじかんを、あいしてる。



なによりそれが格別なのだ。

返歌

どれほどやりとりをしていないんだろう？

瓶につめて手紙を流したら、あなたは返事をくれますか？



わたしは海に飛び込みました。

たくさんの漂流する言葉をつつみこむ海に。私もまたつつまれてみたかったのです。



さむい。