マンガのはなし

何冊かもう一度よんでみたいマンガがある。
タイトルも作者も思い出せない。
あらすじすら覚えていない。
覚えているのは数コマ。
でもその数コマだけは鮮明に覚えている。

不思議なものだ。

オチを忘れてしまった小説もある。
だけど不思議なもので、タイトルかあらすじは覚えている。
探そうと思えばさがせる。
本はわりとたくさん読んだ。
タイトルもあらすじも忘れてしまった小説もあるだろう。
でも、そういうものは丸っと忘れている。

マンガだけだなぁ。
タイトルもあらすじも忘れてしまったのにもう一度読みたいと思うのは。
不思議なものだ。

でも、買いたくはないの。
なんとなく手元におくのはイヤ。

たぶん、何が琴線にさわるから。
たぶん、すきではないから。
ずっと部屋においておきたくはない。

一度だけ、読み返して、確認して、卒業したいんだろうな。

何を、かはわからない。
それを確認したいの。

あのコマ、あのシーン。
なんでそこだけ覚えているんだろうね？

感動的な名台詞があるわけでもなく。
読んだときはそれほど面白いと思わなかったようなんだけど。
なんで何年も、10年以上も、20年近くも、覚えているんだろうね。

それを確かめたいの。